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★序章
神龍寺ナーガの面々は合宿中です。ほとんど定住者がいないような絶海の孤島で、唯一の交通手段は近くの大きな島からの不定期便。基本的に携帯も使えません。監督の知人がリゾート地にでもするつもりで安く買いあげたけど大人の事情で計画が頓挫しているという話です。現地調査の拠点となる建物は造ってあるため、そこを合宿所として利用しています。 この島には有名な伝説があるとききました。 昔この海域を治める海の神がおり、島には神を祭る巫女がいたのですが、巫女が神の機嫌を損ねたため海が荒れて津波が押しよせ、村を破壊したうえに周辺の海では魚が捕れなくなったのだそうです。漁獲量が異常に少ないのは事実で、地元の人たちは「砂漠のような海」という言葉をよく口にします。 監督は島の持ち主である知人から、島のどこかに財宝が隠されているという話をききました。知人は迷信だと思っているようですが、ギャンブル好きの監督としては探してみたいところです。なにしろ元気のあり余る部員たちを大勢ひきつれているわけですし。伝説で津波が起きたのと同じ日を島民たちは忌み日として恐れ、数日ほど島から離れる習慣になっています。その日にあえて合宿を設定するところに監督のお人柄が忍ばれますね。 山伏がディフェンス陣を率いて島の周囲をロードワークしていたら、数少ない住民のひとりと思われる老人が忌み日のために荷造りしているのを見つけました。トレーニングも兼ねて荷物運びを手伝ってあげると、老人はこんな話をしてくれました。 「伝説ではああいっとるが、本当は海の神のほうが先に生け贄を要求してきたのじゃ。嫌なら津波を起こすといってのう。そこで島の巫女が知恵と勇気を発揮して、神のちからの源である宝をだましとることに成功したのじゃな。その宝をもつ者は人間離れした怪力を得ることができるといわれておる」 それをきいて山伏たちはアスリートとして当然その宝がほしくなりました。合宿中に島を探索することに決め、この話は自分たちだけの秘密にしました。 西遊記トリオとオフェンス陣は食事のあと、職員の仕事を手伝いました。合宿所の管理人には若い娘がふたりいて食事の支度を担当しているのです。ナンパモードになった高校生たちに彼女たちはこんな話をしてくれました。 「本当は海の神さまと巫女は恋人同士だったの。でも島が貧しかったから長老とかオジサンたちが無理いって巫女に、神の宝を盗むよう命令したのよ。みんなの生活が苦しいのを知っていた巫女は断れなかったんですって。いまでも山の社には巫女の霊がいて、たまに歌もきこえてくるんだよね」 文脈から察するに、どう考えても巫女は美女のようです。それは是非お目にかかりたい。彼らはみんなそう思い、この話は自分たちだけの秘密にしました。 阿含は合宿を散々しぶり、隣の大きな島で女をひっかけていました。彼女はこんな話をします。 「海の神の宝ってなんか惚れ薬〜みたいな? それで巫女を捕まえたんだけど、逆に盗まれちゃったみたい。ミイラとりがミイラになるっていうか」 惚れ薬。阿含はその言葉に反応し、もちろん宝は自分がいただくべきだと考え、みんなにはこの話を秘密にすることにして島に乗りこみました。 一休は1年生と一緒に買い出しにいきました。店の人からこんな話をききます。 「海の神は自分を裏切った巫女のことをずっと恨んでる。そのせいで神が島に残した宝も呪われちゃってな、持ち主を破滅させるんだとさ」 それをきいて一休たちが、自分たちをパシリにした某エースに一泡ふかせられるかもしれないと考えたのも無理のない話ではないでしょうか。この話は自分たちだけの秘密にしました。 雲水とサンゾーとビデオ係は、合宿所の管理人と打ち合わせを行いました。職員は忌み日には一時的に島を離れるので、その間の施設利用の説明をうけたのです。ついでに管理人からこんな話をききました。 「裏の山の中腹に巫女の霊を祭った社があるんですよ。奥は洞窟に繋がっていて、そこを抜ける風の音をうちの娘なんかは巫女が歌ってるっていいますけどね。洞窟には宝があるって噂です。どんな願いも叶う宝だそうですよ」 雲水は、願いは自分のちからで叶えるから意味があるんだ、と思いました。深く考えてはいけないことだと悟って話題を変えます。サンゾーとビデオ係は雲水の気持ちを察してなにもいいませんでした。その結果この話は彼らだけの秘密になりました。 そして船で人々が去り、島にはナーガのメンバーだけが残されます。 忌み日の朝。朝練前に自主トレをする雲水と一休がいちばんに起床し、外にでました。すると海が干上がってオレンジ色の砂漠と化し、空は黄色く染まり、山の木々は紫になり、どう考えても異次元空間に紛れこんだとしか思えない風景が広がっていたのです。 ◆使用上の注意
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